どんでん返しがある物語が口コミされやすいのはご周知のとおりです。
たとえば自分も「彼方のアストラ」のどんでん返しを読んだときは、YouTubeやブログで鼻息荒くしてみんなにおすすめしたもんです。
てことで、今回は「どんでん返しのつくり方5選」を考察します。
どんでん返しが有名な漫画、映画、ゲームのネタバレを含むのでご理解くださいませ。
どんでん返しとは
まずは参考文献「大どんでん返し創作法」を参考に、どんでん返しを定義しましょう。
どんでん返しとは「Aだと思ったものがBだった」というギャップを利用し感情を揺さぶる技法です。
たとえば、以下のような使われ方は古典的でしょう。
- (A)怖そうなヤツだと思ったら
- (B)じつはいいヤツだった
映画「猿の惑星」では「(A)猿の惑星は(B)地球だった」というギャップが驚きを生んでいます。
ギャップがある物語は口コミされやすい
社会学者マーレイ・デイビスは、古典的論文 “That’s Interesting!” の中で、「人がおもしろいと感じる理論は、既存の前提を揺さぶるものだ」と論じています(Davis, 1971)。
「AがBだった」というギャップがある物語は、口コミで広がりやすい性質があるという論ですね。
詳しくは「口コミで爆発的にバズりやすい物語の特徴12選」もご参照くださいませ。
たしかに「進撃の巨人」や「魔法少女まどか☆マギカ」のように、意外なギャップがある物語は誰かに教えたくなります。口コミで大ヒットした映画「カメラを止めるな」も典型でしょう。
フリーゲーム「青鬼」や「魔女の家」がゲーム実況で大人気作に育ったことは有名ですが、TwitterやYouTubeでの口コミ効果はバカにできないなぁーと思います。
意外などんでん返しを1つや2つ、物語にとりいれれば、リツイートやシェアが期待できるのかもしれません。
参考文献:
Davis, M. S. (1971).
That’s Interesting!: Towards a Phenomenology of Sociology and a Sociology of Phenomenology.
Philosophy of the Social Sciences, 1(2), 309–344.
https://doi.org/10.1177/004839317100100211
どんでん返しの型5選
漫画、映画、ゲームなどのどんでん返しパターンを分析し、使いやすいそうな5つの型を考えてみました。
- 「正体」はAではなくBだった
- 「目的」はAではなくBだった
- 「問題」はAではなくBだった
- 「解決策」はAではなくBだった
- 「前提」はAではなくBだった
世間一般に「どんでん返しがすごい」と評される作品は「5 前提はAではなくBだった」をオチに利用していることが多く、前述した「彼方のアストラ」「カメラを止めるな」「猿の惑星」いずれも設定の前提を覆すどんでん返しが話題になった作品です。
1~4のアイデアは、オチだけでなく中盤でストーリーに変化を加えるために用いられることもあります。
この5つのどれかに該当する設定を用意すれば、とりあえずどんでん返しが効いた物語ができるのではないかと。
①「正体」はAではなくBだった
どんな作品にも利用しやすいのが「正体はAではなくBだった」パターンでしょう。
たとえば、ジョジョ5部の「弱そうに見えたあいつがラスボスだった」みたいなかんじです。
以下のようなアイデアが使いやすいかと思います。
- 男だと思ったら女だった(らんま1/2など)
- 敵だと思ったら味方だった(ハリー・ポッターなど)
- ザコだと思ったらラスボスだった(スレイヤーズNEXTなど)
- ラスボスだと思ったら四天王で一番の小物だった(ドラクエⅢなど)
「正体を明かすどんでん返し」を際立たせるには、正体が明かされる前と、明かされた後のギャップを大きくするのがベターでしょう。
➁「目的」はAではなくBだった
キャラクターの「目的」もどんでん返しに利用されることがあります。
たとえば「愛だと思ったら遺産目当てだった」や「攻撃されてると思ったがじつは守られていた」などは、よく見かけるパターンです。
オチに利用されるより、中盤でストーリーに変化を加えたいときに明かされることが多い印象があります。
- ジャマされてると思ったら守られていた(魔法少女まどか☆マギカなど)
- 攻撃は侵略ではなく報復だった(フリンジなど)
- 愛情ではなく身体目当てだった(彼方のアストラなど)
- 宝が隠された理由は独占ではなく封印だった(インディージョーンズなど)
③「問題」はAではなくBだった
解決すべき問題がAではなくB③判明するパターンも王道です。
たとえば少年漫画でよく見る「黒幕は別にいた!」などの展開はこのパターンですな。バックトゥザフューチャーのように、解決すべき問題が次々変化していく使われ方もあります。
- 敵はAではなくBだった(進撃の巨人など)
- 原因はAではなくBだった(バックトゥザフューチャーなど)
- 足りないものはAではなくBだった(ダイの大冒険など)
④「解決策」はAではなくBだった
「問題」と似ていますが「解決策が違った」というどんでん返しパターンもあります。
青い鳥で使われた「探し物はすぐそばにあった」パターンが有名ですが、解決策のどんでん返しは、誤った情報や、主人公の思い込みがトリガーになることが多いです。
- 必要な人物はAではなくBだった(美少女戦士セーラームーンなど)
- 敵の弱点はAではなくBだった(映画ドラえもん のび太の魔界大冒険など)
- 成功にはウソではなく誠実さが必要だった(アラジンなど)
- ライバルは他人ではなく自分だった(ファイト・クラブなど)
このパターンのどんでん返しは「インディージョーンズ」「バックトゥザフューチャー」シリーズで頻繁に使われていますね。
⑤「前提」はAではなくBだった
もっとも話題になりやすいのは「前提はAではなくBだった」どんでん返しです。
映画「シックスセンス」「カメラを止めるな」など、どんでん返しが話題になった作品の多くはこのパターンを利用していて、舞台や設定への先入観を終盤で覆します。
- 生きてると思ったら死んでいた(シックスセンス)
- 現実だと思ったら映画だった(カメラを止めるな)
- 幽霊を退治しようと思ったら自分が幽霊だった(アザーズ)
- 地球の話だと思ったら別の世界の話だった(彼方のアストラ)
- 主人公がラスボスだった(進撃の巨人)
- ゆるふわ学園漫画だと思ったらゾンビ漫画だった(がっこうぐらし!)
- 魔女の家は自分の家だった(魔女の家)
最近は「現実だと思ったらゲームの中だった」のように、メタ認知(一歩引いた視点)を利用したどんでん返しも多く見受けられます(ドラゴンクエスト・ユア・ストーリーなど)
このパターンのどんでん返しは強烈な反面、矛盾があるとブチ壊しになる危険性もあるので、丁寧に伏線を張りたいところです。
たとえば、漫画「彼方のアストア」の主人公たちは、地球人ではことが後々発覚するので「地球」という言葉を一度も発していませんし、映画「シックスセンス」の主人公は後々幽霊だと発覚するので、誰とも会話をしていないことが有名です。
「物語を最初から見返したくなる」ように、どんでん返しの予感は髄所で与えておくと良いかもしれませんね。
「どんでん返しづくり」に役立つおすすめ本3冊

最後は恒例の「一歩先をゆくスキルが身につくおすすめ本」紹介コーナーです。
今回は、どんでん返しの創作に役立ちそうな本を3冊ピックアップしました。
大どんでん返し創作法 面白い物語を作るには
「あらすじドットコム」の、ぴこ山ぴこ蔵さんの電子書籍です。
「Aだと思ったら、Bだった」の型が豊富に解説されているので、どんでん返しについてより理解を深めたい方は一読してみるといいかもしれません。
売れるストーリー&キャラクターの作り方
「読者に好まれやすい物語の型」が学べる本です。
どんでん返しは、読者の思い込みや先入観を利用するテクニックなので「王道の型」を知っていたほうが作りやすくなるのではないかと思います。
「ついやってしまう」体験のつくりかた
ゲームでどんでん返しをつくりたい方は先に「面白いゲームのルール」を覚えておくといいかもしれません。
ゲームシナリオはマンガや小説と違ったルールがあるので、その辺をおさえておかないと「ストーリーは頑張ってるけどつまらないゲーム」になりがち。
本書は、ドラクエやラスアスなどのヒットゲームが、どのように「ゲーム×ストーリー性」を両立してるか学べて参考になります。
