「売れる物語には法則があるのでは?」てことを題材にした研究は昔からあります。
売れる小説の法則をテキストマイニングした「ベストセラーコード」なんて本も昔話題になりました。
そんな中から今回は、コーネル大学による「売れる映画のプロットアークの法則」の研究をご紹介します。
アークは「感情の起伏」みたいな意味で、物語の中でのキャラクターの変化を指すときに度々用いられる用語です。詳しくは「キャラクターからつくる創作再入門」などをご参照くださいませ。
つまり「視聴者の感情がどのように揺れ動く物語がヒットしやすいのか?」を調べた研究ですね。「2018年にarXivで公開され、2020年に学術誌掲載されました。
映画によくある6つのアーク
コーネル大学は6,147本の映画につかわれた言葉をテキストマイニングし、ヒット映画のアークの傾向を6つに絞り込んだそうな。
- 最悪の状況から右肩上がりにポジティブになるアーク:ショーシャンクの空になど
- 右肩下がりに堕ちていくアーク:サイコなど
- 日常が崩壊しネガティブになるも最後はポジティブに締まるアーク:ゴッドファーザーなど
- 日常がポジティブになるも最終的に落ち着くアーク:メリーポピンズなど
- 上がった感情が下がり、また上がるアーク:ベイブなど
- 一度ネガティブになり中盤で浮上するも、また落ち着くアーク:リトルマーメイドなど
この中で、もっともヒットしていたプロットは「3 日常が崩壊しネガティブになるも、最後はポジティブに締まる」映画だったそうです。
前述した「ストーリーのつくり方」で紹介した、ヒーローズ・ジャーニープロットですね。
ちなみに、このタイプのプロットは「ジャンルや製作費に関係なく好まれる」傾向にあったそうなので、漫画でもラノベでも、商業誌でも、同人でも、どんなタイプの物語にも使えるのではないかと。
それぞれのアークと相性がよくないジャンル
それぞれのアークには「相性がよくないジャンル」も指摘されています。
- 最悪の状況から右肩上がりにポジティブになるアーク:SF、ミステリー、ホラーに不向き
- 右肩下がりに堕ちていくアーク:コメディに不向き
- 日常がポジティブになるも最終的に落ち着くアーク:低予算のインディーズ映画に向いてるが、大衆向きではない
- 一度ネガティブになり中盤で浮上するも、また落ち着くアーク:批評家うけが悪く賞レースに不向き
たしかに右肩下がりにネガティブになるコメディ映画は楽しくなさそう。
結論をいうと「おとなしく、ヒーローズ・ジャーニー理論でプロットをつくるのが最強」ということになりそうです。
いつもハッピーエンドのヒーロー物語一辺倒は嫌だ!という場合は、前述した「キャラクターからつくる創作再入門」で紹介されている「ネガティブに落とすアーク」なんかが参考になるかもしれません。
参考文献:
Del Vecchio, M., Kharlamov, A., Parry, G., & Pogrebna, G. (2020).
The Data Science of Hollywood: Using Emotional Arcs of Movies to Drive Business Model Innovation in Entertainment Industries.
Journal of the Operational Research Society.
https://doi.org/10.1080/01605682.2019.1705194
